脊柱側弯症は、背骨が左右に曲がってねじれることで体幹バランスを崩す疾患です。思春期の女子に多くみられますが、成人してから急激に進行するケースもあります。早期発見と適切な対策が、将来の痛みや姿勢トラブルを防ぐカギ。この記事では、セルフチェック法から保存療法・手術療法のメリット・デメリット、そして最新の低侵襲治療までをわかりやすく解説します。
1. 側弯症の種類とメカニズム:C字型・S字型の違い
- C字型側弯
- 胸椎または腰椎の一部が大きくC字に曲がるパターン。
- 曲がり角度(コブ角)が30°前後の軽度〜中等度で発見されることが多い。
- S字型側弯
- 胸椎と腰椎の2ヵ所で逆向きにカーブし、S字を描くように曲がるパターン。
- 体幹のバランスが大きく崩れやすく、軽度でも見た目上の左右差が顕著に。
- 発症メカニズム
- 思春期の急激な成長期に、遺伝的要因や筋膜の緊張アンバランスで発症。
- 進行すると側弯部の脊柱管が狭まり、神経根圧迫による痛みやしびれを伴うことも。
2. 簡単セルフチェック:肩の高さ・腰のくびれを確認
- 肩の高さチェック
- 鏡の前に立ち、両肩の高さに左右差がないか確認。
- 片方の肩が明らかに下がっていれば側弯の可能性あり。
- 前屈テスト
- 腰を真っ直ぐにしたまま前屈し、背中の左右の出っ張り具合を観察。
- 背骨が左右どちらかに突出して見えれば側弯が疑われる。
- ウエストラインのくびれ
- 鏡を横から見て、ウエストのくびれの深さに左右差がないか確認。
- くびれが浅い側の骨盤が傾いているサイン。
いずれも簡易的なチェックですが、気になる場合は整形外科でレントゲン検査を受けることをおすすめします。
3. 保存療法 vs 手術療法:メリット・デメリット
治療法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
保存療法 | ・非侵襲で身体への負担が少ない ・理学療法・運動療法で筋バランスを改善 | ・コルセット装着の継続が必要 ・進行を完全に止められない場合も |
手術療法 | ・曲がり角度を物理的に補正し再発リスク低減 ・重度側弯で神経症状緩和 | ・開腹・固定手術の侵襲あり ・術後リハビリが長期になる |
- 保存療法:成長期早期〜軽度側弯(コブ角20°未満)が対象。理学療法士によるストレッチ・筋力強化プログラムに加え、成長期には夜間コルセットを装着。
- 手術療法:コブ角が40°以上、痛みや神経症状(しびれ・排尿障害)が強い場合に検討。スクリュー+ロッドで脊柱を固定し、脊柱管の確保も同時に行う。
4. コルセットの種類と装着ポイント
- ミルウォーキー型コルセット
- 頚部まで覆う形状で、胸椎上部の側弯にも対応。
- 成長期のお子さまに最も多く処方される。
- 胸腰椎型コルセット
- 胸腰椎部(胸椎下部〜腰椎)を重点的にサポート。
- 見た目が薄く、装着時のストレスが比較的少ない。
- 装着ポイント
- 装着時間:1日18〜23時間を目安に装着(食事や入浴以外は継続)。
- サイズ調整:成長期は体型変化に合わせて数ヵ月ごとに見直し。
- ケア:コルセット内部の肌トラブル防止のため、下着やパッドを着用。
5. 最新の低侵襲オペ(ロッド固定)とは?
近年、切開幅を最小限に抑える骨皮質穿刺法や経皮的スクリュー固定が普及しています。
これらの低侵襲技術により、入院期間は従来の4週前後→2週前後に短縮され、早期社会復帰が期待できます。
まとめ
- 脊柱側弯症は早期発見がカギ。家庭でのセルフチェックを習慣化し、気になる場合は速やかに専門医へ。
- 軽度〜中等度であれば保存療法+コルセットで進行を抑制。
- 40°以上の進行例や痛み・神経症状が強い場合は、最新の低侵襲手術で短期入院・早期リハビリを目指せます。
自分の背骨を“主治医”の目線で観察し、適切な治療選択を行いましょう。必要に応じて、専門医とじっくり相談してください。