年齢と共に訪れる体の不調。その原因は「せぼねの老化」かもしれません。このページで、あなたの背骨に起きている変化を理解し、すこやかな未来への一歩を踏み出しましょう。
「昔はもっと動けたのに…」
腰痛、肩こり、背中の張り。多くの中高年の方が抱えるこれらの悩みは、単なる「年のせい」ではありません。体を支える大黒柱である「せぼね」が、長年の負担によって少しずつ形を変え、本来の機能を失い始めているサインなのです。
せぼねの老化は誰にでも起こりますが、そのスピードには個人差があります。放置すれば、痛みだけでなく、足のしびれや転倒による骨折、寝たきりといった深刻な事態を招くことも。そうなる前に、ご自身のせぼねの状態を正しく理解することが重要です。
下のグラフは、加齢による一般的な「せぼねの健康度」の推移を示した概念図です。40代頃から下降線を描き始めます。
注:本文に基づく概念図であり実測値ではありません。
あなたの背骨に起きている「3つの老化」
せぼねの老化は、主に次の3パーツの変化で進行します。
クッションがへたる【椎間板の変性】
骨と骨の間で衝撃を吸収する「椎間板」は、加齢で水分が失われ薄く硬くなり、クッション機能が低下します。
骨がもろくなる・トゲができる【椎骨の変形】
椎間板のへたりで椎骨に負担が集中し、骨のフチに骨棘が形成。骨粗鬆症があると圧迫骨折も起こりやすくなります。
支えが硬くなる【靭帯の肥厚】
骨同士を連結する靭帯も分厚く硬くなり、脊柱管で神経を圧迫してしびれなどの原因になります。
背骨の老化が引き起こす、代表的な4つの病気
- 変形性脊椎症:椎間板の変性や骨棘などでせぼねが変形。痛みが強ければ治療対象。
- 脊柱管狭窄症:骨の変形や靭帯肥厚で脊柱管が狭くなり神経圧迫。前かがみで楽になるのが特徴。
- 変性すべり症:加齢で椎骨が前後にずれ、腰痛やしびれを招く。閉経後女性に多い。
- 脊椎圧迫骨折:骨粗鬆症を背景に起こりやすく、「いつの間にか骨折」も。
大丈夫、まだ間に合う!老化と上手に付き合う方法
まずは「正しい姿勢」から
- 座るとき:深く腰掛け、骨盤を立てる
- 立つとき:頭のてっぺんから吊られているイメージで
- 物を持つとき:膝を曲げて腰を落とし、体に近づけて
無理なく続ける「筋力」と「柔軟性」
- ウォーキング:腰に負担の少ない全身運動
- ストレッチ:仰向けで膝を抱え、腰回りを伸ばす
- 水中運動:浮力で体に優しく、効果的に
見逃さないで!受診を急ぐべき危険なサイン
- 足のしびれや痛みがどんどん悪化する
- 足に力が入らず、つまずきやすくなる
- 安静でも強い痛みが続く
- 尿が出にくい・漏れる(排尿障害)